たぶん、この恋は終わった。
まだ「終わりました」と断言できるわけじゃない。
でも、私の中では静かに一区切りついた気がしている。
彼は仕事が忙しくなり、
会えない日が続いた。
メッセージも減った。
電話もしなくなった。
私は何度も、
「大丈夫?」
と送りたくなった。
台風の日も。
暑い日も。
何か理由を見つけては連絡したくなった。
でも、そのたびに立ち止まって考えた。
我慢をし続ける私と、
素直に前へ歩き出す私。
気持ちを止め続ける私と、
新しい景色を見に行く私。
私は、どちらが好きだろう。
どちらが、
私らしいのだろう。
そんなことを、
何日も、何度も考えた。
彼のことではなく、
私自身のことを。
そして、一つだけ決めた。
もう、私からは連絡しない。
駆け引きではない。
意地でもない。
ただ、自分で決めたことを守ってみようと思った。
最初は苦しかった。
スマホを見るたびに思い出した。
でも、不思議なことが起きた。
時間が経つほど、
彼への執着は驚くほど薄れていった。
恋を手放したというより、
「返事を待つ私」を手放した。
そんな感覚だった。
そして、もう一つ気づいたことがある。
相手への執着がなくなったというより、
自分への信頼が少しだけ戻ってきた。
50歳になって知った。
恋愛で一番大切なのは、
相手との約束だけじゃない。
自分との約束を守ること。
それは、誰かを失わないためではなく、
自分を見失わないためにとても必要なことだった。